コラム「設計屋のひとりごと」01:樹脂設計品における成形不良
2026.7.16成形不良は「現場の問題」なのか
樹脂設計で見落とされがちなポイント
樹脂部品の量産が始まったあと、品質トラブルとしてよく聞かれる言葉がある。
「ヒケが出ている」「ウェルドが目立つ」「反りが大きい」。
こうした問題は、しばしば成形現場の条件調整や金型の改修で対応される。
しかし、成形担当者と話をしていると、こんな本音を耳にすることがある。
「この形状だと、そもそも無理があるんですよ」
樹脂成形の不良は、必ずしも成形条件だけで決まるものではない。
むしろ、設計段階で形状に内在している要因が、量産の段階で顕在化するケースが少なくない。

見た目に現れる「ヒケ」
樹脂製品の外観不良として最もよく知られているのが「ヒケ」である。
表面がわずかにへこんで見える現象で、特に光沢のある製品では目立ちやすい。
ヒケの原因は、樹脂が冷えるときの収縮差だ。肉厚の部分ほど冷却が遅く、その分だけ収縮も大きくなる。
その結果、表面が引き込まれるようにして凹みが生じる。
問題は、この肉厚の偏りが設計の中に自然に入り込みやすいことだ。
例えば、強度を持たせるために設けたリブや、ネジ固定用のボス。
これらをそのまま配置すると、表面側から見れば局所的な肉厚増加になってしまう。
設計図面では気づきにくいが、金型ができて初めて外観不良として現れることも多い。

避けられない「ウェルドライン」
もう一つ、樹脂製品でよく見かけるのがウェルドラインだ。
樹脂が流れて合流する場所に現れる細い線で、見た目だけでなく強度低下の原因にもなる。
例えば、ネジ穴や開口部のある部品では、樹脂の流れが分かれて再び合流する。
するとその位置にウェルドが形成される。
ここで重要なのは、ウェルドを完全に消すことは難しいという点だ。
多くの場合、設計の工夫は「なくすこと」ではなく、「目立たない場所に移すこと」になる。
つまり、形状やゲート位置の検討によって、ウェルドが機能や外観に影響しない位置に誘導する設計が求められる。

意外に厄介な「反り」
外観不良よりも厄介なのが反りである。
部品がわずかに曲がるだけでも、組み立て精度に影響することがある。
反りの原因は単純ではない。肉厚の違い、冷却の偏り、材料の特性などが複雑に絡み合う。
特にガラス繊維を含む強化樹脂では、繊維の向きによって収縮の方向が変わる。
結果として、同じ形状でも流動方向によって反り方が変わることがある。
設計段階では見落とされがちだが、左右対称に見える形状でも、流れの方向によっては非対称な変形が起こることもある。

「作れる形状」を考える設計
樹脂設計では、CAD上で成立している形状が、そのまま量産できるとは限らない。
むしろ重要なのは、「作れる形状かどうか」という視点である。
ヒケ、ウェルド、反り。
これらの成形不良は、成形現場だけの問題ではなく、設計と密接につながっている。
設計者が成形の基本的な制約を理解し、初期段階から金型や成形の視点を取り入れる。
それだけで、量産後のトラブルは驚くほど減る。
樹脂部品の設計とは、単に形状を作ることではない。
「成形される瞬間」を想像しながら形を決める作業なのかもしれない。
樹脂設計で見落とされがちなポイント
樹脂部品の量産が始まったあと、品質トラブルとしてよく聞かれる言葉がある。
「ヒケが出ている」「ウェルドが目立つ」「反りが大きい」。
こうした問題は、しばしば成形現場の条件調整や金型の改修で対応される。
しかし、成形担当者と話をしていると、こんな本音を耳にすることがある。
「この形状だと、そもそも無理があるんですよ」
樹脂成形の不良は、必ずしも成形条件だけで決まるものではない。
むしろ、設計段階で形状に内在している要因が、量産の段階で顕在化するケースが少なくない。

見た目に現れる「ヒケ」
樹脂製品の外観不良として最もよく知られているのが「ヒケ」である。
表面がわずかにへこんで見える現象で、特に光沢のある製品では目立ちやすい。
ヒケの原因は、樹脂が冷えるときの収縮差だ。肉厚の部分ほど冷却が遅く、その分だけ収縮も大きくなる。
その結果、表面が引き込まれるようにして凹みが生じる。
問題は、この肉厚の偏りが設計の中に自然に入り込みやすいことだ。
例えば、強度を持たせるために設けたリブや、ネジ固定用のボス。
これらをそのまま配置すると、表面側から見れば局所的な肉厚増加になってしまう。
設計図面では気づきにくいが、金型ができて初めて外観不良として現れることも多い。

避けられない「ウェルドライン」
もう一つ、樹脂製品でよく見かけるのがウェルドラインだ。
樹脂が流れて合流する場所に現れる細い線で、見た目だけでなく強度低下の原因にもなる。
例えば、ネジ穴や開口部のある部品では、樹脂の流れが分かれて再び合流する。
するとその位置にウェルドが形成される。
ここで重要なのは、ウェルドを完全に消すことは難しいという点だ。
多くの場合、設計の工夫は「なくすこと」ではなく、「目立たない場所に移すこと」になる。
つまり、形状やゲート位置の検討によって、ウェルドが機能や外観に影響しない位置に誘導する設計が求められる。

意外に厄介な「反り」
外観不良よりも厄介なのが反りである。
部品がわずかに曲がるだけでも、組み立て精度に影響することがある。
反りの原因は単純ではない。肉厚の違い、冷却の偏り、材料の特性などが複雑に絡み合う。
特にガラス繊維を含む強化樹脂では、繊維の向きによって収縮の方向が変わる。
結果として、同じ形状でも流動方向によって反り方が変わることがある。
設計段階では見落とされがちだが、左右対称に見える形状でも、流れの方向によっては非対称な変形が起こることもある。

「作れる形状」を考える設計
樹脂設計では、CAD上で成立している形状が、そのまま量産できるとは限らない。
むしろ重要なのは、「作れる形状かどうか」という視点である。
ヒケ、ウェルド、反り。
これらの成形不良は、成形現場だけの問題ではなく、設計と密接につながっている。
設計者が成形の基本的な制約を理解し、初期段階から金型や成形の視点を取り入れる。
それだけで、量産後のトラブルは驚くほど減る。
樹脂部品の設計とは、単に形状を作ることではない。
「成形される瞬間」を想像しながら形を決める作業なのかもしれない。










